時代の流れに沿った40年ぶりに成立した改正相続法

  • 岩橋  栄子FP マスク

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2019年09月14日 コラム番号:2,507

今回の法改正の主な変更点

1. 配偶者居住権の創設
遺言書が無い場合は民法の規定に基づき遺産分割がなされる。そうすると配偶者が自宅を相続した場合、預貯金の相続額が減ってしまい、生活費が不足する恐れが考えられる。そこで、2020年4月以降は所有権と居住権を分けられるようにして、自宅の居住を続けながら預貯金などの相続財産をより多く取得出来るようになった。
更に居住用不動産に関して、婚姻期間が20年以上の夫婦で居住用不動産が遺贈または贈与された場合、改正前は生前贈与分も相続財産とみなして計算されていたが、19年7月以降生前贈与分は相続財産と切り離されるので、結果として遺産分割で配偶者の取り分が増えることになった。
(例1)被相続人の遺産:自宅2000万円、預貯金4000万円
改正前   妻:自宅2000万円、預貯金1000万円 子ども:預貯金3000万円
20年4月以降 妻:自宅1000万円、預貯金2000万円 
 子ども:自宅1000万円、預貯金2000万円
(例2)被相続人の遺産:自宅1000万円(持ち分2/1)、預貯金4000万円 合計5000万円
妻生前贈与分 自宅1000万円(持ち分2/1)
改正前:
妻の財産取得分 (5000万円+妻生前贈与分自宅1000万円)÷2=3000万円
20年4月以降:
妻の財産取得分 5000万円÷2+妻生前贈与分自宅1000万円=3500万円

2. 特別寄与制度の創設
これまでは相続人以外で、被相続人の介護など特別に寄与したとしても、相続財産の分配を受けることは無かった。しかし、19年7月以降特別寄与者は相続人に対して、自分が貢献した分の金銭請求が出来るようになった。ただし、認められる金額基準は法令で定められていない点に注意が必要だ。
改正前:長男の妻 介護しても相続人以外なので相続財産の分配なし
19年7月以降:長男の妻 介護したら相続人に貢献分の金銭請求が可能

3. 遺留分の金銭債権化
遺留分とは、残された相続人が最低限保証される法律上の権利であり、その遺留分を請求する行為を遺留分減殺請求という。その遺留分減殺請求を行ったとき、不動産の遺産がある場合、共有状況は複雑になり、不動産持ち分処分に困る。しかし、19年7月以降遺留分減殺請求は金銭で請求することとなり、これまでの複雑な共有状況はなくなる。
(例)被相続人の遺産:自宅7000万円、預貯金1000万円
改正前   長女遺留分1/4:自宅1000万円、預貯金1000万円 
長男:自宅6000万円 不動産共有状況
19年7月以降 長女遺留分1/4:預貯金1000万円 1500万円金銭請求
長男:自宅不動産単独所有

この他にも自筆証書遺言の財産目録は、手書きで作成する必要がなくなり、パソコンで作成しても良くなった。その結果、財産目録には署名押印が必要ではあるが、遺言作成が簡単になった。

コラム執筆者

  • 顧問契約・賃貸マンション売却の検討練馬区Mさん・相続物件の有効利用練馬区Hさん・子どもの金銭教育市川市Sさん・シニアの海外移住中野区R...