公信の原則

  • 武井  信雄行政書士 マスク

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2019年07月29日 コラム番号:2,449

公信の原則
公信の原則とは、「真実の権利関係」があるような「外形を信頼した者は保護されなければならない」という原則です。

物権の存在を推測させるような外形、つまり、「登記」、「登録」、「占有」などによる公示を信頼して取引関係に入った者は、その外形が「真実の権利関係を反映しない虚偽のもの」であっても、保護されなければならないのです。

これが公信の原則であります。
すなわち、公示を信頼した者を保護する制度です。
つまりは、取引の安全のためです。

しかしながら、
現実的には、物権変動を明らかに公示するという公示の原則を徹底しても、その公示がいつも「真実の権利関係」を反映しているとは限らないのです。

例えば、
土地の所有権がAからBに移転したという登記、すなわち公示があっても、Bが勝手に登記したものもあるかもしれません。

所有権を移転する契約が無効な場合もあります。
又は、すでにAにより契約が取り消されたり、解除されたりして、登記の外形だけが残っている場合があります。

公示の原則を徹底しても、真実の権利関係が反映されているかどうか信頼できず、安全な取引を妨げることになります。
しかしながら、取引のたびに、はたして公示が正しいかどうかをいちいち調査するのは非常に手間がかかりますし、確実に行うことも困難です。そして、迅速な取引ができなくなります。
これらの問題点を解決したのが、公信の原則です。

公信の原則によって、「公示が真実の権利関係を反映していなくても、公示を信頼した者は公示どおりの効果に従い保護される」としたのです。

公信の原則は、取引の安全を保護する重要な機能を果たします。
しかしながら、反面では「真実の権利者の利益を犠牲にする」という面ももっています。

取引の安全のために「真実の権利者」を犠牲にして、虚偽の権利関係を優先させるからです。よって、通常の取引においては、公信の原則を無制限に認めるわけにはいきません。
そこで、民法は「動産取引」については公信の原則を認めでいます(即時取得の制度)。
しかしながら、土地・建物など「不動産取引」においては公信の原則を採用しておりません。
土地・建物などの取引においては、「虚偽の登記をそれとは知らずに、真実と信じて取引しても保護されない」として、取引の安全よりも「真実の権利者の利益」を優先させたのです。
よって、不動産取引においては、「登記に公信力はない」としています。


コラム執筆者

  • マクロ・ミクロ経済学商法・会社法相続不動産売買マーケティング経営分析経済評論