検証『大阪ホテルマーケットの現況』(不動産ソリューションブック2015年10月)

  • 難波 里美不動産鑑定士 マスク

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2015年11月18日 コラム番号:371

大阪ホテルマーケットの現況

 出張中のビジネスマンが宿泊先を確保できないほど、大阪ではホテル需要が活況だ。商業の中心地である心斎橋のアーケード街には外国人観光客が殺到しており、今後のホテル需要の堅調さは容易に想像がつく。

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近畿4市の客室稼働率

 大阪のホテル市場が活況である。
 東京から出張のビジネスマンが大阪で宿が取れないと嘆く程である。
 <図1>は、2001年度から2014年度までの大阪市、京都市、奈良市、神戸市の客室稼働率の推移を表したものである。
 大阪市は2002年度~2005年度間は、76%~78%の客室稼働率であったが、ファンドバブル期に入って、2006年度、2007年度は80%台になったものの、2008年のリーマンショック以降、客室稼働率は悪化した。2010年度に稼働率回復の兆しがみえ、2011年度は2010年度より改善しているが、これは東日本大震災により、東京から一時的に避難した層の影響による(主として外資系)。2012年度に83.1%と2001年度の水準に回復して以降、2013年度、2014年度と客室稼働率が上昇している。

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訪日外国人旅行者数

 <図2>は、訪日外国人旅行者数の推移を表したものである。
 これによると、2011年の震災時は大幅に減少したものの、2012年以降、訪日外国人旅行者数は急増している。
 即ち、客室稼働率の上昇と訪日外国人旅行者数の急増は、リンクしていることがわかる。
 外国人旅行者数は、中国、台湾、東南アジアを中心に急増しているが、その背景としては、ビザ免除若しくはビザ発給要件の緩和、航空路線の拡大(特にLCC)、円安等の効果が掲げられよう。
 大阪ホテル市場は、世界に名高い観光地「京都市」へのアクセスが良く、市内にはショッピングゾーンが充実しており、東南アジアにアクセスが良い(関西新空港は2016年第3ターミナルを供用開始する)ことから、インバウンド効果をもろに受けているが、2014年以降は大阪USJ(ユニバーサルスタジオ)のハリーポッター館開業効果も見逃せない。
 また、円安が大きな追い風となっている。
 今後も、2019年開催の「ラグビーワールドカップ」、2020年開催の「東京オリンピック・パラリンピック」、2021年開催の「関西ワールドマスターズゲームズ」等、観光客を誘致するビックプロジェクトが続いている。
 こうした中で言われているのが、ホテル客室不足である。平成26年6月「観光立国推進閣僚会議」による「観光立国実現に向けたアクション・プログラム2014」では、2020年を重要な通過点として訪日外国人旅行者数を3,000万人に増やす目標を掲げ、外国人旅行者の多様な滞在ニーズに応えるため、古民家・町屋の再生、農林漁業体験民宿や国家戦略特区制度を活用した滞在施設の利用に向けた取り組みや、大規模イベントの開催時に宿泊需給が一時的に逼迫する場合への対応として、既存の宿泊施設以外の施設の活用の検討を記しているが、現時点では旅館業法により、その取り組みは進捗しているとはいえない。大阪市内のホテル客室数は平成22年度の46,573室から平成24年度の46,509室とほぼ横ばい状態が続いている。
 無論、ホテル需要が高まっている近年、供給側も主として建設業界や不動産業界から新規にホテル事業に進出する意欲のある企業は大幅に増加している。
 しかしながら、都心部の地価と建築費の高騰から、ホテル運営会社が提示する家賃では、投資採算性が低く、新規ホテル供給は思うように増加していない。既存ホテルについては、J-REIT、S-REITの他、投資ファンドや外国企業、国内外の富裕層の購入意欲が高く、ホテル売買価格は高騰している。
 以上、大阪ホテル供給市場は、需要増に比すると大きな後れをとっていると言わざるを得ない。
 しかしながら、大阪シティホテル市場のADR(Average Daily Rate = 平均客室販売単価)、RevPAR(Revenue Per Available Room = 1日当り販売可能客室数あたり客室売上)をみると、2014年4月と2015年4月の比較では、大阪はADRが+30.9%、RevPARが+34.7%と著しく上昇している。これは、東京(同期間でADR+14.6%、RevPAR+14.5%)に比しても、極めて大きな伸び率である。
 こうした状況が継続すれば、高い地価、建築費のリスクをとっても、ホテルビジネスに参入してくる企業は、今後、増加していくものと予測する。

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